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くちなし
第5章 交
「戻りましたー!」

宿泊先には、もうひかりと晃が戻っていた。

「雅ー!昴おかえりー!飲みなおそーよ!」
結構お酒が入っていると思われるひかる。
「お。どこか行ってたみたいだね。お帰り。少し飲んでく?」
全く顔に出ていない晃。

「んー。僕はぁ…。」
昴が私の顔をチラッと見る。
「少し飲もうっか!」
「んじゃあ、決まり!!昴も雅も座って!座って!」

こうして、私たち四人の宴が始まった。

「ねーねー!雅の香りってやっぱり、男の人には魅力的なの?!」
ひかるは、二人に突然聞く。

「んー。私にも魅力的に感じるよ?」
晃が言う。
「香りだけじゃあ…ないでしょ?」
いつもの昴に戻っているようだった。

「やっぱり、そうなんだ!」

「ねー。その話は…。」
話を遮ろうとする。

「あぁー!雅ちゃん!すっごく顔色悪いよ!明日バイトだからもう寝ようよ!部屋まで送るね!」

「あ…。うん…。皆ごめんね。明日は、元気になるから!少し飲み過ぎちゃったかも…。おやすみなさい!」

グイグイ私の手を引いて歩く昴。

「もっと早く抜ければよかったねー!」

ーガチャー

「はい!どーぞ!」
「ありがとう。」

ーガチャン…ー

「雅ちゃん、本当によく飲んでたね!顔白いよ…?平気?」
「うん!大丈夫!ありがとう。」

「けどぉ…色白なのはいつもか!すっごく綺麗だよね。
 僕に触れられるの嫌…?」

私の頬に触れる。あの時のように、鎖骨まで下りる指先。
なんだろう?あの時は、嫌だったのに…。今は…。

「…嫌じゃない。」
「ふふっ!可愛い。雅ちゃん…食べちゃいたいな。」

ーちゅうっー

「んん。…昴くん…。」
「…っはぁ…。雅ちゃん…可愛い。」
さっきのキスとは違い、深く激しさを増すキス。

「雅ちゃん…。もっと…求めて…。んん…っ……は。」
「ん…んぁ…っ…ふ…。」
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