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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
 強く抑える口。快感を散らす出口を失ったあたしの体は、今度はあたしの鼻から甘い声を漏れさせた。あたしは机に突っ伏しながら、鼻からの声を止めようと必死になるが、急いた息遣いに交じってしまう。


 気持ちいい。気持ちよすぎて、どうにかなりそう。


「ん……ふぅんっ……ん、ん……ふぅぅん、ん、んんん……」


 早くどうにかさせて欲しい。この切ない苦しみを弾けさせて。


「机って……スタジオみたいに音が反響するんだ。んんっ……すごい……しーちゃんの喘ぎ声。もう本当に可愛すぎて、たまらない。いいよ、しーちゃん。苦しいの……切ないの、解放してあげる。んんっ……イカせてあげる」


 ……そんなナツの呟きなど露知らず。


 あたしが必死に快感と闘っている最中、ナツは再びやった。

 


 ちぅぅぅぅぅぅぅぅ。




 くらくらした頭に閃光が飛ぶ。

 音と強い刺激に目を見開いたあたしは、反射的にぐいと持ち上げた手に噛みついた。


 片足が胸元まで大きく持ち上がり、片足を立てた状態になってしまう。

 さらにナツが強く吸い付いてくる――。


 駄目、駄目、駄目。

 そんなことされたら、あたしイッちゃ……。



「なんじゃこの音は。誰が"ちぅぅぅぅぅ"をしているんじゃ」


 ひぃぃぃぃぃぃっ!!


 現実感があたしの理性を奮い立たせる。


 破廉恥な音にざわめく騒音。


 極度にスリルを味わい、ますます刺激に鋭敏になってしまうあたしの体。


 ナツは攻撃をやめることはなく。


「はぁい……くゅっ……僕でぇす」


 それどころか、秘部でそんな愉快そうな呟きを漏らし、



「――っ!?」



 ……あろうことか、"追撃"をやらかしたのだ。





 ちぅぅぅぅぅぅ。



 なぜに……ギャラリーを呼ぶんだ、この変態王子。

 あたしは露出狂ではないけれど、今のこの恰好を見られたら、こんな恰好でよがっているところがバレテしまったら、露出狂通り越した痴女。


 こんなところ人様に見られたら身の破滅だ。

 目覚めた意味ないじゃないか。



 明かな異音に、静まり返った室内。

 高まる緊張感に鼓動が早まり、息が詰まりそうだ。



 どっくんどっくん。



 どうか、どうか……ばれませんように――。

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