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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
 

「シズ」


 咥えタバコのハル兄は片手を腰につけ、面倒臭そうに髪を掻き毟る。



「俺は今まで、いろんな女を食い散らかしてきた」


 ……自覚はあるらしい。


「お前を拒否ってるのは、お前が汚いからとかそういう問題ではないからな。もっと根本的な……そうだな、あれだ。男のプライドの問題だ」

「なによそれ」


「お前が俺を求めているのは、お前の意志じゃねぇだろ。たまたま身近に俺が居合わせただけのこと。そんな"たまたま"で、どんな女からも選ばれて求められるこの俺様が、どんな女もを選べる立場にいるこの俺様が、不可抗力的な食い物にされるのは許しがたい」


「……けっ。ちっせぇプライド」


 ぼそっ。


 やさぐれたあたしの小さな小さな呟きは、地獄耳に拾われた。


「なんか言ったか、あ゛~!?」

「い、いえ……言ってません!!」


 体はじんじんして、熱くてたまらないのに、なんでこんなことを言い合わなきゃいけないんだよ。

 切羽詰まったあたしの状態、わかってよっ!!


「今お前……相手が俺だということをわかっちゃいねぇ。いつものお前ならば、あのクソジジイの後に俺をなんて考えねぇはず。"ハル兄を消してしまうなら、あたしぃ~飢え死んだ方がマシぃ~"」

「寒っ、気持ち悪っ……。なんだよ、そのギャル風の裏声……」


 ぼそっ。


「あ゛~っ!?」

「い、いいえなんでもありませんっ!!」


 だけど一理ある。

 幼なじみであるハル兄の姿が消える云々は、今のあたしの中で枷にもならない。今のあたしはただひたすら自らの欲に突っ走っている。



 あたしはハル兄の精液を口で飲みたいのではない。

 体に入れたいのだ。


 体を気持ちよくされたくてたまらないのだ。


 ハル兄に荒く体を貫いて貰いたい。そしてハル兄の男の迸りを受け止めたくて仕方が無いんだ。乾きすぎている。口も……アソコも。

 よりによって、尊大で横柄な帝王を危険に晒すことを強く望んでいる。

 あたしに対して狂愛を示し、なにがなんでも"下のお口"に拘るナツならともかく、目覚め早々からあたしを拒絶していた、鬼畜な男を。
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