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不器用なくちびる
第9章 未来
椎名の言葉が蘇る。

「あの写真撮ったの、橘だぜ?
それに橘は俺に言われたから
お前に優しくしただけだ。」

もしそうだったら、それだけだったら。
このお願いごとを書いてくれる
わけないよね?

今の私だったら少しはわかる。
何かをするのに理由なんて
ひとつじゃない。
やむを得ないことだってあるし、
自分で自分がわからないこともある。

あの日、橘くんの話を
ちゃんと聞けば良かった…

そして私は…


「橘くん…好きだよぉ…」


いつからだろう。
気付かなかったけど…
いつからかこんなに好きで。
何でこんなことに
なっちゃったんだろう。

もう遅すぎるの…?

私も橘くんに…会いたい。
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