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不器用なくちびる
第14章 贖罪
橘くんは、不自然なくらい
私の方を見なかった。
瑞希ちゃんが嫌がるから…かな。
橘くんの腕に手を回す瑞希ちゃんを
見るのが辛かった。

橘くん…やっぱり素敵だな…
あの人と毎週会えてたなんて。
もう昔のことみたいだ。夢…みたいだ。
あの腕に抱かれることを夢見たことも
あったけど、もう叶わないのかな…

橘くんが忙しく動き始めると、
瑞希ちゃんはどこかへ行ってしまった。
綺麗なドレスだな…
なけなしのお金でプチドレスアップ
してる私とは大違いだ…


「瑞希さ〜
元部員なのに全く手伝う気無しだよね。
女優か!ってくらい綺麗な格好
しちゃって…まぁ、らしいけどね〜」


周りの女の子たちが口々に言う。
な、なるほど。
そういう見方もあるんだ。
春菜ちゃんみたいな今日だけのヘルプも
いっぱい来てて、
確かにお手伝いしてもいい
状況かもしれないな…

そんなことを考えながら、
私が受付のお手伝いをしていると…
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