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不器用なくちびる
第5章 願い
香山のことは…
委員会で少し会話をした
程度だった頃から
かわいい子だなとは思っていた。

そんな頃、椎名に体育館に呼ばれて…

あれを見せられた。

どんなことをしてでも
止めなきゃいけなかったと
今も後悔してるけど…
あの時は体が動かなかったんだ。

俺にはあるトラウマがあった。

それに俺にも…
男の汚い好奇心があったんだと思う。

見ていた奴らも同罪だって
前に香山に言われたけど、
ほんとにその通りだ。


椎名とは…
ガキの頃はよく遊んだけど、
妹の事件以来あいつは
どんどん悪くなって…
俺らより他校の奴らや先輩と
つるむようになった。

事件のことは、
昔からあの辺りに住んでる人なら
誰でも覚えてるはずだ。
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