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不器用なくちびる
第6章 策略
「俺はヤってねぇよ!」


少しうろたえる波田野。


「マジでやってねぇのかよ…
そんなに大事なら
なんであんなことしたんだよ⁈」


その時、誰かが椎名の後ろから
部屋に飛び込んできた。


「栞!」
「香山っ」

それは春菜ちゃんと橘くんだった…

靴下しか身につけていない私は
とっさに身体を隠そうとしたけど…
カチャカチャと鳴る手錠のせいで
何も出来なかった。

見られたく…無かった…


「嘘でしょ…」
春菜ちゃんは呆然と立ち尽くしている。

すると橘くんが散らばった衣類を
素早くかき集めると、
私を抱きかかえテーブルの陰に
そっと降ろしてくれたんだ…
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