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不器用なくちびる
第7章 想い
春が来て…
俺たちは2年生になった。

俺たちといっても、
椎名と波田野はもうここにはいない。
椎名は今はとある矯正施設にいる。
両親はついに離婚したそうだ…

波田野は、被害者として大騒ぎをした
ものの、結局世間体が悪かったらしく、
親の力で別の私立中学に編入した。

…あの頃のことを思い出すと
今でも自分の無力さ加減に腹が立つ。


香山は椎名の部屋で何度も………


俺はその間何も知らなかった。
大好きな女の子のことなのに。

波田野が香山にしたこと。
手錠で真っ赤になった手首も…
今もはっきり憶えている。

あいつらがしたことは絶対許せねぇ
ことなんだけど…

俺はあいつらとは一応友達だったし
特に椎名のいろんな事情を知ってるから
居なくなったことは少し複雑だけど…
香山のことを考えると良かったと思う。

あの時体育館に居合わせた他の奴らは
上級生だし、あの2人が居なくなった今
香山は安心して登校できてるんじゃ
ないのかな。

…って確かめた訳じゃないんだけど。
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