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不器用なくちびる
第7章 想い
香山はあれからずっと一人だった。

でも不思議と寂しそうな感じでは
無く、休み時間は席に着いて
楽しそうに本を読んでたり。

その表情は穏やかで綺麗で…
とても絵になった。

今も、中庭で読書している香山の
黒くて長い髪が風になびいて

サラサラ…サラサラ…

でもあの黒髪に俺が触れることは、いや
近づくことさえもう出来ないんだろう…

椎名は…
椎名も香山のことを考えているのかな。
あいつはやっぱり香山のことを好きで、
特別に思っていたんだと俺は思ってる。
でもあいつは不器用だから…


「あんたってほんと不器用だよね〜!」


俺が屋上から香山のことをこっそり
見ながら、切ない想いに浸っているのを
突然の大声で邪魔された。
今井春菜だ。

…面倒な奴が来た。
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