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不器用なくちびる
第7章 想い
「恋人同士で書いて積み重ねるのが
ほんとは有名みたいだけど…
友達同士でも大丈夫♪」


あの時俺は、いつか恋人同士になれる
とでも言われたかのように
なぜかドキドキが止まらなくて…
香山の目をまともに見れなかった。

俺の知らないところで香山は
辛い毎日を送っていたのに…
香山の知らないうちに俺は
あんなひどいことをしていたのに…

おめでたい男だよな。
恋人どころか本当は友達にも
なれていなかったのかもしれない。


………やべっ、泣きそうだ。
これ以上情けないのは勘弁してくれ…


俺は上を向き何とか涙をこらえると
積み重ねられた石を見つめた。
雨風にさらされてか少しずれている。

香山の願いって…何だったのかな。
位置を直そうと石を掴んだ手を止める…

確か上の石が香山のだ。
下の石に俺が何を書いたのかは
もちろん覚えてる。

手の中にある石をひっくり返せば
それが、読める…
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