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不器用なくちびる
第7章 想い
CMにでも出てきそうな断崖絶壁に
その白い灯台はある。

マジできれいな場所だよな…

灯台の上には、祭りのせいか割と
多くの観光客がいたけど、
俺が目指しているのはそこじゃない。

灯台に続く丘の途中から脇道を逸れて…

あの時、すげ〜かわいい浴衣姿なのに
足元はスニーカーで…
何でかなと思ったんだけど
ここを歩くからだったんだよな。

そういう飾らないところ
香山らしいよな…


かなり足場の悪いところを抜けると
ちょうど灯台の下辺りに出る。
すると…

あった!あの時の石だ!

恋人同士で、願い事を書いた石を
積み重ねると幸せになれる…

そのジンクスは結構人気があって、
灯台の上に設置してある台は石で
いっぱいだ。石は溜まる一方だから…
半年に一度はぶっちゃけ処分されて
しまうらしい。
だから…


「あのね、地元の人間はちょっと
人目につかないところに置くんだよ?」


ここに立つと、
あの日の香山の声が…笑顔が…
昨日のことのように思い返された。
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