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第19章 キズ

　ずっと疑問に思っていたことがある。麻人が私の家に頻繁に来る理由だ。
　麻人の母親のことを知った時。彼が私の家に来るのは、自分に依存する母親と一緒にいたくなかったからだと知った。でもそれは、前々から薄々勘づいていたことだったけど。
　あいつが私を好きで、頻繁に部屋に来ていたわけではなかったことも、わかってはいるけれど。
　だけど今の麻人の私への接し方は、前とは違う気がする。エッチの時の触り方も、別の部分でも。だからこそ、ほんの少しだけ期待してしまう。麻人が私に、ほんの少しでも恋愛的な感情を持ってくれていないか。
　ーー一緒に過ごすうち、私は麻人を好きになった。彼の気持ちには、変化はないのだろうか。

「ヤバイ、のぼせる」

　湯を沸かし、掃除の疲れと汚れた体を綺麗にしようとのんびり浸かりながら、麻人のことを考えていた。どう告ろう、なんてとこからいろいろと思考が移り変わった。
　普段あまり湯に浸からないせいでのぼせそうになり、慌てて湯から上がった。
　部屋に戻ると、すでに深夜零時を過ぎている。