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可愛いヒモの育て方。
第19章 キズ

「つかおまえ、なんで勝手に君島と代わってんだよ、シフト」
「あ……!」

 不機嫌気味な店長の声に、はっとして叫ぶ。
 忘れてた。今日麻人と代わったこと、店に電話していなかった。
 欠勤の場合はもちろんだけど、代わりに誰かに出勤をお願いする場合も、連絡しなければいけない。

「……すみません、ちょっと体調が悪くて。すっかり連絡忘れてました」

 体調云々は嘘。麻人に課された掃除のノルマと、エッチしないというあまりに衝撃的な発言に気を取られ、欠勤の連絡など頭から抜けていた。社会人としてあんまりなミス。

「……たく。しっかりしろよな。風邪か? 大丈夫か?」
「いえ、多分疲れとかで、もう大丈夫です」
「なら良かった」

 店長の声が、少し柔らかくなる。だけどもやはりそれだけで電話というわけではなかったらしく、本題に入った。
 季節の変わり目ということで、メニューが幾つか変わる。それにあたりテーブルの上のグランドメニューを新しいものにするらしく、古いものを回収し、新しいものを並べておいてくれとのことだった。

「明日俺休みだから、船越やっといて。新しいメニューはパソコンの隣にあるから」
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