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第21章 好きな人

　麻人の唇が、私の体を這う。あまり濃くはないけれど、縄が当たっていた部分は赤い痕になっている。その線を麻人の舌が辿る。

「は、ああ……」

　熱い、ねっとりとした感触に、私の体の奥に灯った火がまたくすぶりだす。
　麻人の舌が胸の突起を捉え、たまらず麻人の頭をきつく抱きしめた。膝立ちをやめてその場に尻をつき、自ら胸をつき出して、麻人の唇へと押し付ける。もっと強い刺激がほしい。いっぱい舐めてほしい。
　さっきまで縄が邪魔でブラが外せず、直接触れられなかった乳首。麻人はブラを上にたくしあげ、すっかり固くなった乳首を口に含んだ。

「あ……、はあっ」

　待ちに待っていた刺激。気持ちよすぎて、背をのけぞらせて喘いでしまう。
　甘噛みされ、もう片方を指でこねられた瞬間、強烈な快感が全身を突き抜けた。

「は……、あ、ああぁ……っ」

　背をのけぞらせたまま、びくんびくんと体が痙攣する。麻人を抱きしめる手にも不自然なほど力がこもり、つかの間息が止まった。
　
「……もしかして、乳首だけでイッちゃったんすか？」

　ようやく余韻がおさまり肩で息を整えようとしていると、びっくりしたように麻人が言う。