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第21章 好きな人

　ついそう突っ込みをいれると、真面目に聞いてください、と麻人からさらに突っ込まれる。
　いや、真面目に聞いてるし。

「いつの間にか、友梨香さんのこといっぱい考えるようになってました。そういうのを、病院から帰ったあとに思い出していて、ふと気付いたんです。俺の、友梨香さんへの接し方はどうなんだろうって。変わったのかなって」
「……変わってた？」
「うーん、多分。てかそれ、友梨香さんの方がわかるんじゃないですか？」

　言われて、真剣に考えてみる。麻人の私に対する接し方がどう変化したか。

「……麻人はねー。ずっと優しかったよ。いつも、どんな時も。でも昔はもっと淡白で、素っ気なかった。こんなふうに、私を抱きしめてくれたり、お互いに体温を感じられるくらい近い距離にはいなかったじゃん」
「それ、エッチ限定の話ですよね？　だって友梨香さん上がいいとかいじめたいとかばっか言ってて、全然俺にやらせてくれなかったじゃん。俺が同じことしたら、仕返しされたとか負けたとか一人で騒いでるし」
「……確かに。だって、なんか悔しかったんだもん」