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可愛いヒモの育て方。
第5章 熱

 それに、彼の体は服越しにでもわかるくらいに熱を持っていた。麻人の頬に手の甲を当てる。

「……ヤバ」

 朝よりも、ずっと熱かった。

「熱、かなり上がってるんじゃないの? ちゃんと計った?」

 麻人は弱々しく首を振った。
 とりあえずベッドに寝かせようと思い、彼の片腕を私の肩にまわして立ち上がらせた。
 耳元で、せわしない呼吸音をさせながら、麻人が言う。

「友梨香さん、トイレ連れてって」
「はいよ」

 もうほとんど担ぐような状態で、トイレまで連れていった。
 そのままベッドに寝かせ、体温計をセットする。

「ねえ、これ飲める?」

 ペットボトルのキャップを外し、スポーツ飲料を差し出すと、麻人は上体を起こしてそれを受け取った。
 意識はあるものの、動作の一つ一つが気だるげで、みるからにつらそうだった。

「大丈夫?」
「はい」

 熱のせいか、瞼が腫れぼったく、目も潤んでいた。
 買ってきた保冷湿布も、額に貼ってやる。その頃には体温計も鳴り、確認すると三九.六度もあった。

「高っ! これ、ほんとに風邪……? インフルとかじゃないの?」
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