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官能ショートショート『不離岩(はなれずのいわ)』
第1章
あの宿なんと言ったかな、陣……そう、陣屋じゃ。
へえぇ、お前さんたちも昨日陣屋に泊まりなさったんか?
それはなんと奇遇な……。
陣屋も今は、若女将になってな、今じゃ結構な評判じゃ……。
ああ、遭難した話じゃった……その日はもう夜も遅いんでな、次の朝一番で、警察と村の連中とで探しに行ったそうじゃ。
そしてな、その鬼面岩のところで……鬼面岩のところには古い杉の木が一本立っておってな、その幹に一本のロープが巻き付けてあるのを見つけたんじゃ。
おお、いい忘れとったが、鬼面岩のすぐ後ろは断崖絶壁じゃ。
ほぼ真っ直ぐに切り立った崖の縁じゃ。
遙か下の谷底には川が流れとるが、木が生い茂ってよう見えん。
あそこに降りた者は誰もおらん。
ちょっとやそっとの長さのロープでは下まで届かんし、麓から谷川を登る手もあるんじゃが、途中の滝や、切り立った岩場で、人の足じゃ辿りつけん。
へえぇ、お前さんたちも昨日陣屋に泊まりなさったんか?
それはなんと奇遇な……。
陣屋も今は、若女将になってな、今じゃ結構な評判じゃ……。
ああ、遭難した話じゃった……その日はもう夜も遅いんでな、次の朝一番で、警察と村の連中とで探しに行ったそうじゃ。
そしてな、その鬼面岩のところで……鬼面岩のところには古い杉の木が一本立っておってな、その幹に一本のロープが巻き付けてあるのを見つけたんじゃ。
おお、いい忘れとったが、鬼面岩のすぐ後ろは断崖絶壁じゃ。
ほぼ真っ直ぐに切り立った崖の縁じゃ。
遙か下の谷底には川が流れとるが、木が生い茂ってよう見えん。
あそこに降りた者は誰もおらん。
ちょっとやそっとの長さのロープでは下まで届かんし、麓から谷川を登る手もあるんじゃが、途中の滝や、切り立った岩場で、人の足じゃ辿りつけん。