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イヤよイヤよも好きのうち
第8章 おっとのこうはい
『あはは…それは怖い!では、お言葉に甘えて、先輩を待たせてもらっていいですか?』
とても好青年にみえる。
私の意識過剰な言葉にも、引かずに笑い飛ばして反応してくれる。…こんなに明るい人と話すのは何年ぶりかしら?
『あ、奥さんお綺麗ですね!』
緩んだ気持ちでいると、リビングに飾ってある写真を見て、彼が言った。
『あぁ、結婚式の…』
それはもう昔。キラキラ輝く、幸せ真っ只中の私たち夫婦が映っている。
『いやぁ僕たちも新婚なんです!結婚式の写真って、やっぱり良いですよね。』
『あら、新婚さん?お若いのに、しっかりなさってるのね。』
新婚。その言葉に途端に安心する。
この人は大丈夫…
奥さまを思い出しているのか、先ほどよりその笑顔には嬉しさが滲んでいる。
他の女なんか、目に入らないような幸せな笑顔。…私たちにもあったな、そんな頃が。