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その、透明な鎖を
第5章  夏が始まる


「……そんなの、いいのに」


凛が、ぽつりと。


「それより、私のこと見て……?」

「凛――……」

「一緒に気持ちよくなろうよ」


ちゅっ、と。
彼に口づけて。


「私のこと、見て?」

「……うん」

「私の名前、ちゃんと呼んで……?」

「ん、わかった……凛」


今度は彼から、口づけて。


「ごめん」


――そして。
彼女は彼に覆い被さったその体勢から、少し上体を起こして。
再び、腰を使い始める。


「ああ……凛、っ」


彼を、ゆらゆらとした快楽が襲う。
それを味わいながら、ちゃんと、彼女を見た。


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