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その、透明な鎖を
第5章  夏が始まる


咄嗟に、彼は彼女の腕を掴んで引き寄せた。
倒れ込むようにして、彼女が覆い被さってくる。
それを、ぎゅうっと。
彼は、強く、強く抱き締めた。


「違うから!」

「悠斗……」

「だって、凛が俺の上でなんて……そんなとこ、見たら。俺、絶対すぐまたいっちゃうから」


彼女の耳元で、囁くように言う。


「だから、見たいけど、我慢して。
……なるべく持つように、したくて」


はあっ、と息を吐いて。


「凛のこと、俺、マジで好きなんだって――……」


ぎゅっと、さらに腕に力を込めた。
自分がどんなに凛のことを好きなのか、わかってほしいと言わんばかりに。


――それほど、彼は彼女のことが好きで。
すごく、好きで。


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