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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
「最近のは? 高校生の凛、とか」
「ここ数年は撮ってないかな」
さらっと、凛は言ったけれど。
こんなに仲良く頻繁に写真を撮っていた家族が、急にそれをやめたってこと? と、彼は不思議に思って。
「なんで?」
「……んー、なんとなく?」
「なんとなく、って」
――そんな理由で?
「……また、言いたくなくなった?」
話を濁し始めた凛の態度。
そうだ。彼女はあまり自分のことを話したがらないんだ、と彼は思い出す。
それをここまで話してくれただけで……アルバムを見せてくれただけでも良しとすべきなのだろうか、と。
「言いたくない、っていうか」
少しの沈黙の後、凛がそっと口を開いて。
「そんな、人に言うような話じゃないっていうか」
どうしようか迷っているような、口調で。
「人、って……それが、俺でも?」
彼女は、その言葉に彼を見る。