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その、透明な鎖を
第8章  認めたく、なかったのに




――え?




思わず、彼は彼女を見て。
その口元に微かに浮かぶ、哀しそうな微笑みを、見て。


「凛――……」


その名前しか、言えなくて。


「それから写真、撮らなくなったの」


そう言って、彼女はそっとページをめくる。
何も貼られていない、真っ白なページ。
そこを、手のひらで撫でて。

思わず、彼はその手に自分の手を重ねた。


「ごめん」


――まさか、そんな理由だったなんて。


「ごめん、凛」


その手を彼はぎゅっ……と、握って。
黙って下を向いたまま、首を振る彼女を見て。


「もう、2年近く前のことだから」

「……じゃあ、中三のときに?」

「うん。9月」

「そう、だったんだ」


彼は呟いて。



――そして、それに、気づいた。



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