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その、透明な鎖を
第9章  だったらどうして


「いつから……?」


悠斗の中で、いろんな感情が渦巻いていた。
まだ、信じたくないという気持ち。
もう、認めるしかないという気持ち。
自分だけのものではなかった彼女。
父親と寝ている彼女。
哀しみ、悔しさ、怒り、苛立ち……。
それら、負の感情のすべて。

もう、何も考えたくなくて。
でも、考えずにはいられなくて。

……そんな中、口をついて出てきた言葉はそれだった。


彼の静かな口調は、彼女の予期していた反応とは違っていたのか。
両手をそっと下ろし、少しだけ顔をあげて覗かせた凛のその表情には、微かに戸惑いが見えて。


「……中三の、冬」


そのまま、小声で答えを。


「そんなに、前から」


思わず漏れた、彼の溜め息。


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