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その、透明な鎖を
第11章 私と、そのひと
無条件に私を愛して、癒して、守ってくれるひと。
ママを愛して。
ママの娘である私を愛して。
……ママを無理矢理犯した男の娘なのに、それでもそうやって、私のそばにいてくれるひと。
ママがいない今、私のことなんて放っておいてもほんとのことを知ったら誰もパパを責めないだろう。
それなのに、まだ、私のそばで。
私をひとりにはしないと言うそのひと。
「……ねえ、パパ」
「ん?」
「パパは、ママがいなくなっても、私のために生きるって言ってくれたよね」
「……そうだよ」
「私も、パパのために生きるから」
「凛――……」
「本当の娘じゃないのにいっぱい愛してくれたお返し、ちゃんとするからね」
その手が離され。
パパはその言葉の意味を確かめるかのように、私を見つめた。
「だから、待ってて」
でも私はただ、それだけを答える。