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その、透明な鎖を
第12章 私の存在理由
日々の、そのぎこちない雰囲気が耐えられない。
それももちろん、ある。
けれど、それは理由じゃない。
私はママの代わりになりたかった。
パパは、今もママを欲している。
心も、身体も。
この前のことで、それがわかった。
あのときも、思った。
ママの代わりになろうと。
でも、まだ中途半端な決意だったそれは、痛みというリアルな感覚に、あっという間に消え失せてしまうような脆いものだった。
……今は、違う。
本当に、そう思っている。
この前パパから聞かされた話が、私にそれを決意させた。
パパが私のために生きてくれると言うなら、私もパパのために生きる。
あんな出生の私が、こうしてここに生きていて。
ママを失った現実に打ちひしがれているパパのすぐ近くにいるのは。
――きっとパパを、救うため。
この、ママそっくりの容姿も。
ほら。それを裏付けている。
きっとそれが、私がこの世に産まれた理由。
私が今ここに存在している理由――――。