この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第12章 私の存在理由
……パパ。
どうしてこんな私を愛せるの?
どうして、愛することができたの?
そんな男の子供なのに。
本当のことを知ったあとも、変わらず愛せたその理由は?
ママの子供だ、って。それだけで無条件に愛せてしまうものなの?
そうなのだとしたら。
パパの、ママを失ったその哀しみは、私が思っていたよりもきっともっと深い。
生きる理由も、目的も。ママ亡き今、パパには本当はもう残されていないのかもしれない。
でも、もし。
私がママの代わりになれるのなら。
それはパパの新たな生きる理由に、目的にならないだろうか。
そして私の存在する理由をそこに見い出せないだろうか。
それは私が産まれてきた理由にならないだろうか。
そしたら、ふたりの間に起きた忌まわしい出来事の結果生じた……私という人間がここに存在すること。
それをやっと私自身が許せる気がする――――。