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その、透明な鎖を
第2章  雨の匂いが


悠斗は、凛の両腕を掴んで自分の身体から離す。
そのまま、身体ごと振り向いて彼女を見た。

彼女の大きな瞳は潤んでいて。
長い黒髪は頬にかかっていて。
滴り落ちる雨の雫が、まるで涙のようで。

……濡れた紅い唇は薄く開かれて。


「凛……」


その呟きに、彼女は彼を見上げたまま。
彼の両腕を掴んで、そっと目を閉じた。


――これ、って。


ごくりと、悠斗の喉が上下して。
そしてそのまま彼は自分の唇を、彼女のそれへと触れさせた。

……柔らかな、その感触。
しっとりと吸いついてくるような、その弾力。


「は……」


微かに触れ合わせてすぐに離したその一度ではとても足りない。
彼は一瞬にしてそれに夢中になり、口づけながら彼女を抱き締める。

彼女も、背中に両手を回してきて。

口づけて、離して。
何度も押し当てて、角度を変えて。


「――――!?」


やがて凛が、悠斗の唇を舌で割ってきた。
驚いた彼は、思わず唇を離して彼女を見る。
けれど彼女は、彼の戸惑いなど無視するかのように、首筋に両手を絡めるようにして彼を引き寄せ、自分からその唇を押し当てた。


「んっ」


また彼女の舌が、入り込み。
彼の舌に、絡まる。


――っ、これ、やばいって……!


身体が煽られる。
止まらなくなる自分を悠斗は感じた。


「ん……ゆうと、っ……」


離れた刹那、彼女が漏らす鼻にかかったような甘い声に、彼の理性は完全に飛んで――――。


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