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その、透明な鎖を
第12章 私の存在理由
「……っ、……くら……っ」
耐えきれずに零れたような、突然のその言葉。
……泣き声に、近くて。
「桜、っ――――」
何度も、何度も、荒い息と共に発せられるママの名前。
聞いてるうちに、たまらなくなって。
私まで、涙がこみ上げて。
両手でぎゅっとパパの身体を抱き締めた。
――もう、いい。
いやらしくても。
はしたなくても。
この身体でこうやってパパを癒せるなら。
こんな私をパパが受け入れてくれるなら。
もう、それでいい――――。
私の耳元でママの名前を呟き続けるパパを抱きしめる私の腕に、さらに力がこもる。