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その、透明な鎖を
第13章 私が出逢った、彼
そして月日が経ち、私は高校生になっていた。
進学するつもりはなかったけれど、さすがにそういうわけにもいかなかった。
そして相変わらず、パパと……龍とふたりで暮らしている。
龍の状態は、だいぶ落ち着いているかのように見えた。
体重も元に戻って、やつれたようなかんじはしなくなった。
笑うことも、少しずつ多くなって。
ふたりだけの生活にも慣れた私たちは、ママを想いながらも、とても静かに暮らしていた。
でも、落ち着いているかのように見える龍の体調は、日によって差がある。
私には、それがよくわかった。
だから、つらそうなとき。
私はいつも自分から龍のベッドに入った。
そして、私の身体を通してママを抱く龍の身体を。
ママの名前を何度も呼びながら私を抱く龍の心を、強く、強く抱き締める。
翌日になると龍はだいたい落ち着いていて、そんな様子を見ると、やっぱり嬉しかった。
私の心も満たされた。
だって、私は龍の役に立ててる、って。そう思えたから――――。