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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
……やがて、ごめん、とひとこと呟いて。
「正直、頭がすごく混乱してる――――」
そう、再び口を開く。
すぐに答えなど、とても出せやしない。
彼はそう思った。
「だから少し、ひとりで考えたい」
「……うん」
凛も、それに頷く。
彼はそれを見ると、静かに立ち上がった。
荷物を拾い、彼女の部屋を出ようとして。
「……凛」
振り向いて、その名を呼ぶ。
少し不安そうな顔をした彼女。
いつもの大人びたあの表情が、どこかに消えてしまったかのような印象さえ受けて。
……悠斗は少し、苦しさを覚える。
「考えるから……ほんとに」
その言葉に、小さく頷く彼女。
「月曜、ちゃんと来るから」
それにもまた、頷いて。
それを認めた彼は、今度こそその部屋を出る――――。