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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
その日、悠斗はバイトを何とかこなすと、家に帰り着くやいなやベッドに倒れ込むように俯せに横たわった。
「凛……」
そしてただ、その名前だけを呟く。
今日、彼女から聞かされた、衝撃的な告白。
彼女は、母親と、母親を犯した見ず知らずの男の子供で。
血の繋がらない父親は、それを知ってもなお凛を変わらず愛して。
母親が亡くなったあと、ふたりは一線を越えた。
それは凛が望んだことでもある。
そして今もその関係を持ち続けていて。
「同時に、俺とも」
考える、と言ったけれど。
何を考えたらいいのかも、わからない。
溜め息ばかりが出る。
それでも悠斗は、ぐちゃぐちゃな頭の中、少しずつ。
凛の告白の内容を思い出しながら、ひとつずつ。