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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
彼女が、抱きしめられたまま首だけ振り向いて、彼を見る。
「初めて会った日から、悠斗のこと気になって」
また、顔を戻す。
「なんだか、よくわからないけど。
……この人ともっと話したい、って思ったの」
この前、少しだけ聞いたそれ。
もっと詳しく話してくれるのだろうか。
悠斗は黙って、その話に耳を傾けた。
「男の子に対してそんなことを思うなんて初めてで。だって、私の中ではずっと、男の子って煩わしいだけの存在だったの。
……でも、悠斗のことは最初からそんなふうには思えなかった」
なんでだろうね、と。
小さく呟いて。