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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
「……週に3回。30分だけ」
前を向いたまま、凛は続ける。
その手は相変わらず前に回された悠斗の腕に触れたまま。
「だんだん、その時間が楽しみになってた。
会える日は朝からなんだか気分がよくて。会えない日はなんだか少し、憂鬱で」
「凛……」
「悠斗も、そうなのかな。私に会える日、会えない日。そうだったらいいのにな、って。
……でも、なんでこんな気分になるのかわからなかった。わからなかったけど、悠斗と会ってると楽しい、ってことだけは確かだった。
近づきたいのに、少しこわくて。どこまで踏み込んでいいのか、戸惑ったりもして。
そんな感覚初めてで。でも、いやじゃなかった、っていうか」
「凛……」
凛もその感情に戸惑っていたのか、と。
悠斗はそのときの自分を思い出しながらそれを聞く。
自分も戸惑っていた。
だんだん頭の中が凛に支配されていって。
この感情を何て言うのかも分からないまま、ただ凛に会いたくてたまらなかったあの頃。