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その、透明な鎖を
第14章  泣きたくなる


――凛。


彼は心の中で何度も彼女の名前を呼んだ。
彼女にぴったりの、その名前。
どこか凛とした美しさを持つ、大好きな彼女――――。


「……凛が、好き」


やがて離れた唇。
彼は、彼女にそう言って。


「もっと、言って……」


その、彼女の願い。


「もっと呼んで……凛、って――……」


それを叶えようと。
何度も、何度も、彼は彼女に囁く。


彼女の中にようやく見つけた、本当の凛のために――――。



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