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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
「凛だって、たぶんもう気づいてんでしょ?」
「……っ、私……っ」
ひっく、と。
凛が声を詰まらせる。
「俺のこと、好きになったのがその証拠だよ」
だめだと思いながらも、好きになるのを止められなくて。
すべてを知られても、終わるのを怖がって。
そんなふうに、彼女の心は、もう。
「凛は、凛として生きていいんだって」
身体を少し離し、俯く彼女を覗き込むようにすると、その瞳から零れた涙が彼女の頬を伝った。
「ねえ、凛……俺のそばに、ずっといて」
――もう、何も考えずに。
俺のことだけ考えて。
「これからは、俺がいるから」
彼女のその目元を指先で拭う。
「俺には、凛が必要なんだ」
その言葉に、子供のような泣き顔で凛は彼を見上げた。
悠斗を見つめるその瞳からはぽろぽろとまた涙が溢れてきていて。
たまらなくなった彼は、そのまま彼女に口づける。