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その、透明な鎖を
第15章 凪のよう
「凛。俺、来週末はバイト休みなんだ。だからどっか遠出しない?」
8月も下旬に入ろうとする頃。
悠斗は凛をそう誘った。
……あれから。
ふたりはまるで何もなかったかのように、平日は毎日のように会っている。
いつもと何ら変わらないようでいて、けれど互いの気持ちがはっきり分かった状態で会うというのは、やっぱりどこかなんとなく違っていた。
特に、悠斗は。
「遠出?」
さっきの悠斗の言葉に、凛は彼を見て聞き返す。
「そ。店、店長の都合で来週の土日、臨時休業するんだって。だから」
「土日?」
「ん。泊まりがけで、とか……どう?
俺、バイト代貯めてるし。全部出すから」
彼の誘いに、彼女は少し考え込んで。