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その、透明な鎖を
第15章 凪のよう
「……やっぱり土日は難しい?」
龍と過ごすことになっている毎週末。
血の繋がらない父親と過ごす時間を彼女が大事にしていることを悠斗も知っているから、あえて今まで誘ったことはなかったけれど。
「まる二日、バイトも何もないときなんてなかったから。せっかくの連休だし、俺、凛とどっか行きたい。
……昨日から学校も始まって、また凛とゆっくり会えなくなったし……」
そう。
来月になってそのバイトのシフトが変わるまで、また平日は週3回、30分だけしか会えない。
今日も、その短い時間に凛の家に寄って、その提案を彼女にして。
「凛は行きたい場所とかないの?」
「え?」
凛がまた、考え込む。
そして、あ、と。何か思いついたかのように。