この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第2章 雨の匂いが
……冷静になると、悠斗を自己嫌悪が襲った。
凛にあんなことをして。
ごめん、って謝っておきながら、その日の夜に彼女のあられもない姿を想像してこんなことを。
「……最低だな、俺」
本当に思ってるのか?
悪かったなんて、と。
そう、自分に問いかける。
――本当は思ってなんか、ないよな。
「何が、ごめんだよ」
――心のどこかで、凛が誘ってきたからだって。
そう思ってるくせに……。
凛の方から抱きついてきて。
諫める意味で彼女の名を何度も呼んだのに。
離れないどころか、より強く抱きついてきて。
目を閉じて、キスを待ったのも凛だ。
キスの最中に舌を挿れてきて、より激しいそれをねだったのも凛だ。
「凛……」
――なんで俺をそんなふうに煽った?