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その、透明な鎖を
第2章  雨の匂いが


……冷静になると、悠斗を自己嫌悪が襲った。


凛にあんなことをして。
ごめん、って謝っておきながら、その日の夜に彼女のあられもない姿を想像してこんなことを。


「……最低だな、俺」


本当に思ってるのか?
悪かったなんて、と。
そう、自分に問いかける。


――本当は思ってなんか、ないよな。


「何が、ごめんだよ」


――心のどこかで、凛が誘ってきたからだって。
そう思ってるくせに……。

凛の方から抱きついてきて。
諫める意味で彼女の名を何度も呼んだのに。
離れないどころか、より強く抱きついてきて。

目を閉じて、キスを待ったのも凛だ。
キスの最中に舌を挿れてきて、より激しいそれをねだったのも凛だ。


「凛……」


――なんで俺をそんなふうに煽った?



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