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その、透明な鎖を
第15章 凪のよう
「……私も。すごく楽しかった」
座ったまま、彼に、ぐっと身体を近づけるようにして。
「誘ってくれて、ありがと」
首を軽く傾げながら、見つめてくる彼女。
……つやつやとピンク色に光る、その唇に彼は思わず指を伸ばした。
「……柔らかい」
少し、ぺたぺたする。
離した指先を他の指に触れ合わせながら、彼はそれを感じて。
「味つきだよ?」
「え?」
彼女の言葉に、彼は思わず指先を舐めた。
「…………?」
首を傾げた彼に、彼女はさらに顔を近づけて。
「直接だとわかる、かも」
そんな言葉で、彼を誘った。