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その、透明な鎖を
第15章 凪のよう
「そういえばさ」
湯船に入っているふたり。
浴槽に寄りかかるようにして座っている悠斗に、凛は背中を預けて。
彼の腕は、彼女を抱き締めるように前に回されていた。
「さっき、家族に『彼女と旅行に行く』って言った話、したじゃん」
「うん」
「どんな反応されたと思う?」
悠斗は、彼女を後ろから覗き込むようにして尋ねた。
ん……? と、首を傾げた彼女を見て、彼は笑いながら。
「『お前に彼女なんていたのか?』って。親も、姉ちゃんも」
「ほんとに?」
くすくすと、彼女が笑う。
「母さんは『だから毎日家にいなかったのね』って、後から納得してたけど」