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その、透明な鎖を
第15章 凪のよう
「母さんもさ、今度凛のこと家に連れて来いって言ってる」
「……え」
「俺の彼女、見てみたいんだって」
「でも」
ちゃぷん、と水の揺れる音がした。
身体を彼の方に向けるように位置を変えた凛は、悠斗と向かい合う。
その、困ったような表情。
悠斗はそれに気づいて。
「……凛、連れて来るなんて、俺、約束してないから」
「悠斗……」
「嫌ならいいんだ。母さんがただ勝手に言ってるだけだから」
ね? と彼女を見て彼は言う。
「……ごめんね。嫌、っていうより、どんな顔して会ったらいいのか……わかんないっていうか」
俯いて、ゆっくりとそう続ける。
「私、普通の女の子じゃないから」
「え?」
「言えないこといっぱいあるから」
「凛――……」