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その、透明な鎖を
第3章  いいこと


月曜日。

悠斗は、いつもの場所へ向かう。
彼女は本当に今日も来ているだろうか――そんな、少しの不安を抱きながらも、足が自然と速まった。

……もうすぐ。
ここのゆるいカーブを曲がれば、その場所が見える。


――あ。


「凛――……」


遠目で、彼女の姿を確認する。
ちゃんと、そこにいる。

彼は思わず駆け出した。

そんな悠斗を凜も視界に捕らえて。
彼が駆け寄ってくるのを、手を振りながらそのいつもの笑顔で待つ。

はあ、はあ……と。
荒い息をしながら、彼は彼女に近づいて。
少し、離れた場所で立ち止まった。


「悠斗、来てくれたんだ」


凛が、歩み寄ってくる。


「……ん」


彼の息はまだ、荒い。


「そんなに慌てなくても」


彼女は、くすくすと笑って。
彼の乱れた髪を、手を伸ばして、すっ……と整える。


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