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その、透明な鎖を
第15章 凪のよう
「楽しかった。悠斗と会ってるとき、いろんなこと忘れられる」
「凛」
「……いつも、ありがと」
彼の身体から少し離れて。
あの、いつもの首を軽く傾ける仕草をしながら彼女は微笑んでそう言った。
笑っているのに、それはどこか哀しい表情のようにも彼には見えた。
その発言から、そう思えただけかもしれない。
けれど、なんだかたまらなくなった彼は、再び彼女を抱き寄せた。
「凛、好き」
そう、口にして
「……私も」
彼の耳元に小さく届く、彼女の声。
「悠斗が好きだよ」
その言葉に、彼は彼女を抱き締める腕にさらに力を込めて――――。