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その、透明な鎖を
第16章 記憶の奥底
深夜。
どうしても眠れず、彼はそっと起きあがった。
傍らに眠るのは、彼女。
一日中遊んで、彼と抱き合って。
その疲れもあってか、ぐっすりと寝入っているようだった。
同じように疲れているはずなのに彼が寝付けないのはおそらく……現実を、突きつけられたせいか。
静かに溜め息をついた彼。
自分の中で、どう処理したらいいのかわからない。
彼女との行為中、彼は見つけてしまった。
内ももにつけられていた、紅い痕。
それは、あのひとが付けたに違いないであろう、キスマーク――――。
それはつまり。
凛と龍は、今も身体を重ね続けているということで。
「……なんで」
悠斗の口から小さく漏れた呟き。
思わず、顔を覆った。
――今はもう、俺だけだと思いたかったのに。