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その、透明な鎖を
第3章 いいこと
――っ、また。
悠斗は目を閉じて小さく息を吐く。
また、煽られそうな自分を感じて。
「……自覚、あるんだ」
――誘ったっていう、自覚が。
「だって……悠斗の背中見てたらなんだか抱きつきたくなったんだもん」
「なった、って……」
――凛はそれで満足するのかもしれないけど。
抱きつかれた方は。
俺は……。
「あんまり、からかうなよ」
そう言って、悠斗は彼女を牽制する。
「凛は、俺で……遊んでんの?」
どんな些細なことだって。
自分にとって気になる存在の子に、そういうことをされたら……誰だってそういう気持ちになってしまうはずだ、と悠斗は思う。
わざとそういう気分にさせて、でもただそれだけで終わらせるぐらいなら、最初からやめてほしい、と。