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その、透明な鎖を
第17章 遠くへ
翌日も、ふたりの時間を楽しんだ悠斗と凛。
けれども、幸せな時間というのは、なぜこうもあっという間に過ぎてしまうものなのだろう。
……そう悠斗は思いながら、夕方、凛と共に帰りの電車へと乗り込んだ。
「終わっちゃったね」
電車が動き出すと、彼女はそう口にして。
「ん?」
「旅行」
「……だね」
「二日間ってあっという間」
凛の言葉に、同じことを思っていたのかと嬉しくなり。
そしてその内容に、少し哀しくもなる。
「ん」
短く答えて、そっと彼女の方を見る。
凛はその視線を受け止め、可愛らしく微笑んだ。
悠斗も、つられて軽く笑う――――。