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その、透明な鎖を
第19章 語られたこと
「オレは、桜――凛の母親とは本当に幼いときからずっと一緒でね。
幼稚園から小、中、高も同じ……あ、科は違ったけど」
思い出すように彼は話し始める。
「家も近くて、いつも一緒で。子供の頃からお互いは特別な存在だって気づいていたけど、ちゃんと付き合い始めたのは中1からかな」
その口元が、優しく緩んだ。
「高校を卒業して、ふたりとも就職。すぐに同棲を始めた」
「卒業して、すぐにですか?」
驚いて思わず尋ねた悠斗に、龍は彼にちらりと視線を送る。
「もう、一緒にいることが自然だったから。親も公認の仲だったしね」
悠斗は下を向き、小さく頷いた。