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その、透明な鎖を
第19章  語られたこと


「すぐに籍を入れてもよかったんたけど、まあ2年ほど、そういう生活を楽しんだ。
そして、桜の二十歳の誕生日に入籍したんだ」

「二十歳、で」

「そう。それでも早い方だろうね」


悠斗はまた、頷いて。


「そしてそれから半年後だよ。
……桜が乱暴されたのは」


その唐突とも思えた発言に、悠斗は弾かれたように顔を上げて龍を見た。


「桜と過ごせる毎日の幸せを、痛いほど感じていた頃だよ」


龍は、悠斗の視線を感じているに違いない。
けれども、彼の方は見ずに答えた。
その、美しく広がる夜景を見つめたままで、呟くように口にする。


そう……それは、結婚して半年後。
桜が、二十歳の夏だったんだ、と――――。



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