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その、透明な鎖を
第19章 語られたこと
「でもオレはね、思ってしまったんだ。
オレたちが実の親子じゃないと分かれば、少しは凛の気持ちも整理がつくんじゃないかと。
俗に言う近親相姦とか、そういう意味では悩むことはなくなるんじゃないかと。
それを言ったら本当のことも教えなくちゃならなくなるだろうけど……オレは、近親相姦に比べたら、そんなの問題じゃないと思ってしまったんだ」
そして龍は、彼を見て。
「悠斗君」
その名前を呼ぶ。
「君が凛の出生について『関係ない』と言ってくれたように。オレにとってもそうだったんだ」
小さく頷く悠斗。
龍は続ける。
「でも、凛にとってはそれよりも、自分の本当の父親がそういう男だったという事実の方が、より重いものだったのかもしれない……」
苦しそうに呟いて。
けれどもそのまま続ける龍を、悠斗は黙って見つめる。