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その、透明な鎖を
第19章 語られたこと
「……いい子なんだ、凛は。本当なら誰よりも幸せになれる子だと思う。
でもオレがすべてを壊してしまった。
だからせめて、彼女の望むことを、彼女が望む限りオレは叶えていくことを決めた。
……皮肉なものだけど、だからこそオレは凛を置いて死ぬことはできないと、そう思ってる。今はそれがオレの生きる理由になってるんだ」
そう言って、龍は悠斗を見る。
「……オレが言いたいこと、悠斗君はわかってくれるかな」
悠斗は、少し黙って。
「つまり、凛の方が、龍さんを」
それだけを、口にした。
凛の望むことを、叶えていると言う龍。
それはつまり、凛が龍との関係を望んでいるということ――――。
「……そう。それは、君とそうなってからも」
龍の言葉に、悠斗の心臓が波打つ。
「君とそういう関係になってからも、凛はオレを求めてきた。
君のことを口にして『ごめんなさい、でも私は変わらず龍のそばにずっといるから』そう言っていた。
オレのことを気遣ってそうしているのか……それとも違う理由なのか。それはわからないけど」
「凛……」
悠斗の口から、彼女の名前が無意識に発せられた。